台湾外交部(外務省)は、22日に10月中旬にキリスト教ローマ・カトリック教会の法王庁(以下バチカン)へ訪問団を派遣することを計画していると発表しました。
派遣される予定なのは、カトリック教徒である、政権ナンバー2の陳建仁(チェンチエンレン)副総統です。
2016年に蔡英文氏が総統に就任して以降、台湾は5か国(サントメ・プリンシペ、パナマ、ドミニカ共和国、ブルキナファソ、エルサルバドル)との国交断絶に追い込まれ、現在外交関係を結ぶのは、ベリーズ、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、ハイチ、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセント・グレナディーン、パラグアイ、キリバス、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ソロモン諸島、ツバル、スワジランド、バチカンの17か国となっています。
22日、バチカン法王庁と中国共産党政権は、両国間の司教任命問題で暫定合意に達したことを受け、関連文書に署名をしています。
中国外務省は、過去に中国、バチカンの国交正常化の条件の1つに台湾との国交断絶を挙げていました。
今回の両国間の司教任命問題で暫定合意を達成したことにより、バチカンと中国の国交正常化は、時間の問題という見方もあります。
現時点では、バチカンは台湾との国交を断つ考えはないとされていますが、もし、中国がバチカンとの国交正常化を達成した場合、台湾とバチカンとの国交が断たれる可能性が生まれます。
今回、陳建仁氏の訪問が予定されているバチカンは、ヨーロッパで唯一外交関係を残す国です。
陳氏の訪問により、台湾における信教の自由をアピールすることでこれ以上の断交を防ぎたいという狙いがあることが伺えます。
23か国あった台湾と外交関係を結ぶ国ですが、2016年以降2年間で17か国まで減少しました。
これには、中国からの圧力があるのではという見方もあります。
今後、台湾と外交関係を結ぶ国との関係がどう変わっていくのか、両国間の司教任命問題で暫定合意したバチカンと中国の関係はどうなって行くのか、また10月の陳氏の訪問が台湾とバチカンとの関係維持にどのような効果をもたらすのか注目集めています。