米国務省は2018年9月24日、戦闘機部品などを売却する案を承認したと明らかにしました。
売却予定の戦闘機部品などの総額は、3億3000万ドル(約370億円)相当であるとされています。
すでに台湾が保有しているF16戦闘機やC130輸送機を含む戦闘機の修理や交換用の部品が売却される予定です。
米政府は、台湾を「地域の政治的安定と軍事バランス、経済発展に重要な戦力」としています。
現在、貿易をめぐって米国と中国は対立しており、今回の米国から台湾への戦闘機部品の売却は、台湾を重視する姿勢を鮮明にすることで、中国を改めてけん制しているという見方がされています。
また、米国は昨年にもミサイルや魚雷など、台湾に対して、日本円でおよそ1600億円に上る武器の売却を決めています。
台湾政府は感謝の意 中国は反発
台湾政府は、米国からの戦闘機部品などの売却に対して、「安全保障の面で厳しい状況に置かれるなか、強い防衛力は台湾の人々を助け、この地域の平和と安定を維持できる能力をさらに高めるものだ」と感謝をしています。
このような台湾と米国の動きを受けて、中国外務省の耿爽報道官は25日、記者会見において、米国から台湾への戦闘機部品の売却は、中国の主権や安全保障上の利益を損なうと批判したうえで「アメリカの台湾への武器の売却計画に強い不満と断固とした反対を表明する」と述べ、米国側に厳正な申し入れを行ったと明らかにしました。
さらに、耿報道官は「アメリカには直ちに計画を撤回し、台湾との軍事的な関係をやめて、両国の関係や台湾海峡の平和と安定、それに両国の重要分野での協力に重大な損害を与えないよう促す」と米国側に台湾への戦闘機部品の売却の中止する対応を求めています。
今年4月米国の在台湾出先機関である米国在台湾協会(AIT)台北事務所の新館には、米海兵隊が駐屯して警備を担当することが台湾メディアによって報じられ、トランプ政権が発足して以後、ギクシャクしていた米中関係がさらに表面化されていました。
このように米海兵隊を警備のために派遣するのは、世界各国にあるアメリカ大使館だけです。
AITは表面上、大使館ではないとされていますが、実質的には大使館と同じ扱いだという見方もあります。
台湾とアメリカの軍事的な結び付きが強まることによって、米中関係や台湾と中国の関係がどのようになっていくのか注目です。