新規事業を立ち上げる際に、最もコストとなってくる「人件費」について考えなければなりません。
台湾に進出する際にも、駐在員や現地の被雇用者の給与は最優先で考えなければならないものです。
しかし、「台湾人の給与は日本より何となく安い」という認識だけだと、現地での不満が溜まり、せっかくの台湾進出も苦労が水の泡となります。
ここでは、台湾現地での給与水準や雇用形態などを見ていきましょう。
台湾での平均月収について
まずは台湾人の平均月収を把握して、月収の相場を知っておきましょう。
グラフなど使いながら解説しましたので、ぜひご参考にしてください。
case1:台湾現地人の給与
台湾進出にあたり欠かせないのが、やはり台湾人の雇用でしょう。
昨年、台湾の政府機関である「行政院主計総処」が台湾人の平均月収を調査報告しています。
台湾人の平均月収をグラフにまとめると下図です。
棒グラフ(青)は各世代ごとの台湾人の勤労人数、折れ線グラフ(オレンジ)は世代ごとの台湾人の平均月収を表しています。
日本と同じく、平均で見ると年功序列制度が分かるような月収の推移です。
少し分かりづらいので以下に日本円に直したグラフを作成しました。
(※レートは1台湾元=3.6円)
働き盛りの25~29歳は114,558円、年功序列制度のトップクラスともいえる60~64歳でも148,594円と、やはり日本より低い給与水準です。
case2:台湾駐在の日本人
日本人被雇用者を台湾に駐在させる場合、基本的に他の海外の国々と同じような考え方で大丈夫でしょう。
「台湾現地での給与」=「日本での給与」+「海外手当」(+「ハードシップ手当」)
となります。
ハードシップ手当というのは、日本より生活環境が発展途上の国に駐在で勤務する場合につく手当です。
その土地の水道や電気などのライフラインの整備具合や現地の治安などを基に生活しやすさを指数化し、手当の金額を決めます。
基本給などと違い、生活環境などが改善された場合は見直され、手当てが無くなることもあります。
ですので海外駐在員にとっては給与が減らされたと感じる場合もあるので、変動する手当であることを周知する必要があります。
台湾の時給は安い!?台湾の雇用形態って?
台湾でも日本と同様、アルバイト(パートタイム)制度が存在します。
つまり、非正規雇用で時給換算の労働です。
それでは最低時給はいくらなのでしょうか。
2018年1月現在、台湾でのアルバイトの最低時給は「140元」です。
1台湾元=3.6円とすると、その額504円。
1時間働いて500円ほどしかもらえないのです。
肝心の物価はというと、
・マクドナルドのビックマックセット:119元
・スターバックスコーヒー:105元(ラテ、トール)
・ハーゲンダッツアイスクリーム:120元(レギュラー)
※価格は2018年8月現在のもの
1時間働いてハーゲンダッツのアイスクリーム1個程度と、台湾の物価を加味して考えても決して高くはないんです。むしろ低いですよね。
台湾ではアイスは一般的に安いものが多いため、相対的にハーゲンダッツは高くなるので単純に比較は出来ませんが、それでもマックやスタバの価格を見ると台湾の時給は安いのです。
これは国内でも問題になっていて、日本と同様、台湾の最低時給は常に上がり続けてはいます。(2015年6月時点では115元)
しかも、台湾のアルバイトは12時間以上働いてはいけないという規則があるため、働きたくても働けないという現状もあります。
台湾人の給与に関する意識について
台湾人は日本人よりも給与に関して敏感な面があります。
特に顕著なのが「給与明細を社員同士で見せ合う」といったことを日常的に行うという点でしょうか。
日本ですと遠慮しあったり、給与の話はあえてしなかったりといった形で給与明細をあまり見せ合うということはないのですが、台湾人は見せ合うのです。
そういったことから、公平な評価の基の公平な給与形態でないと離職率の上昇につながってしまうのです。
台湾は生活水準が上昇傾向にありますが、肝心の給与額があまり上昇していないという現実があります。
そのため、多くの世帯が共働きをして住宅ローンなどを支払うなどしています。
その分、男女が平等に社会参画できるという側面もありますが、生活を維持するための給与に対しての関心は強いのです。
台湾では日本のような年功序列型の評価のように、能力以外の側面で給与査定などすると、不満が高まって他の会社に転職などしてしまう恐れがあります。
日系の企業に対しては収入が高いことへの期待感などもあるため、給与面などで不満を持たれてしまうと痛いです。
台湾は就職難とはいっても、優秀な人材は引く手あまたなので、公平な給与形態にするなど、離職率を下げるための工夫が必要なので、その点にもご配慮ください。
まとめ
いかがでしたか。
台湾に進出するにあたっても、「人」が会社の根幹になることに変わりはありません。
雇用形態に関わらず、正当な評価を行い、結果に見合った給与を決めていくことが重要です。
特に台湾人は給与に関しては敏感です。台湾進出をする際には公平な評価システムの導入などして、社員の功績に報いるようにしてくださいね。