海外進出をするうえで、宗教に関する知識は身に着けておくべきです。
日本人の感覚で宗教をとらえていると、外国人との宗教の意識のギャップに驚かされることも珍しくありません。
台湾は布教活動も自由で、政府と宗教の間に関係がない政教分離体制となっているため、その点では日本と似ています。
それでも台湾にも宗教を信仰している人はいますし、皆さんが関わる人がどのような宗教を信仰しているかを知っておくに越したことはありません。
こちらでは台湾の宗教に関する知識や、人々の暮らしの中の宗教について解説しますので、ぜひご参考にしてください。
台湾の主な宗教と統計
台湾での主な宗教は、伝統的な道教や仏教、そしてキリスト教です。
台湾では現在、中華民国憲法により信仰の自由が認められています。
宗教はみな平等であると定められ、日本と同じように政教分離も成り立っています。
以下に台湾の主な宗教とその信徒数、施設数をまとめました。
宗教名 | 信徒数 | 宗教施設数 |
道教 | 969,512 | 9,644 |
キリスト教(プロテスタント) | 396,689 | 2,549 |
仏教 | 201,529 | 2,354 |
キリスト教(カトリック) | 181,215 | 727 |
一貫教 | 15,685 | 224 |
イスラム教 | 7,547 | 4 |
天理教 | 2,396 | 21 |
(※出典:內政部統計年報2017年より。基督教、天主教、イスラム教は2013年の統計。)
上表のように、台湾で最も多いのは道教ですが、プロテスタントやイスラム教などのその他の宗教も多いのが特徴です。
道教について
道教の「道」は、「進む道」を意味することからも、道が最大の信仰対象であり、その道は宇宙をも動かす自然の法則と考えられています。
人々が修行することによって仙人になると信じられています。
日本統治時代には迫害を受けて仏教の寺で道教の神を祀ることが出来ませんでしたが、戦後の宗教に対する観念の緩和により、仏教と道教が合流し、同じ寺に異なる神を祀ることが出来るようになっています。
17世紀に台湾に伝えられた、教祖を老子とする道教は多神教に属し、信仰の対象も歴史上の人物や伝説と様々です。
台湾では、道教において最も位が高い神の一つの「玉皇大帝」、海上の守護神である「媽祖」、三国志でも有名な関羽の「関聖帝君」が道教の信仰対象としてよく知られています。
道教に関する寺は観光地としても有名です。
台北で有名な龍山寺では道教だけでなく仏教の神様や恋愛成就を司る「月下老人」など様々な神様が同じ敷地内に祭られていて有名です。
他にも「関聖帝君」が祭られている中でも最も有名な「行天宮」では占いの店が集まっており、日本人観光客にも人気のスポットになっています。
このように、道教に関する観光地も台湾には多くあり、人々の暮らしに密接に関係していることが伺えます。
仏教について
台湾における仏教の伝来は、明朝(14世紀~17世紀)の鄭成功の渡来より前のことです。
日本統治下では当時の日本の国家神道を押し付けるのではなく、当時台湾にあった仏教を広める政策が取られました。
その影響から、日本本土から多くの仏教の宣教師が渡来し、統治が終了する間際の1945年には日本の8宗14派が渡来していました。
現在では約20万人の信者がおり、このうち多い宗派は浄土宗・禅宗・無宗派となっています。
台湾におけるキリスト教について
台湾にキリスト教が伝来したのは17世紀初頭、スペイン人とオランダ人宣教師によって伝えられたといわれています。
台湾でカトリックに比べてプロテスタントがポピュラーなのは、17世紀当時台湾南部を統治したオランダがスペインを排除し、カトリックの布教を排除したためです。
また、プロテスタントの中の長老教会派が北京語とは別の台湾語の使用にこだわっており、その影響で台湾独立派と志向性がマッチすることからもプロテスタントが台湾において普及している一因となっているようです。
信心深い台湾人
以上が台湾人の宗教に関する解説となります。
宗教の自由が認められており、それぞれの宗教を信仰している人が多く、台湾人と宗教のかかわりは深いです。
現地スタッフと交流しているうち、色々と驚かされることもあるかもしれません。
・信心深くて占い通りに生活することを常に考えている人がいた
・宗教上の理由でベジタリアンを貫いている人がいる、
・台湾の街を歩いていたら飲食店の前にお供えがよく置いてあった
・思ったよりクリスマスが盛り上がらず実は自宅でお祝いしていた
などなど…
一緒に働いてくれている台湾人スタッフが進行している宗教を尊重して、
宗教も含めてスタッフのことを理解していくことが大切です。
台湾進出の際には、宗教に関する一般的知識も抑えておきましょう。