人事

台湾の社会保険制度:会社負担料率や外国人・駐在員の取り扱い

台湾には、大きく3つの社会保険制度があります。 大枠の制度としては日本の制度と似ていて、日本における健康保険、雇用保険、年金の制度が施行されています。 台湾に駐在する人はもちろん、台湾現地で従業員を雇用すれば社会保険制度 […]

人事

台湾には、大きく3つの社会保険制度があります。
大枠の制度としては日本の制度と似ていて、日本における健康保険、雇用保険、年金の制度が施行されています。
台湾に駐在する人はもちろん、台湾現地で従業員を雇用すれば社会保険制度に関する知識は持っておきたいところです。
こちらでは台湾の社会保険制度についてまとめましたので、ぜひご参考にしてください。

全民健康保険制度(健康保険)

日本における健康保険に該当する全民健康保険制度は、台湾では1995年から導入されました。
2004年末には人口の99%をカバーしている制度となります。
この制度が開始されるまでは40%以上の国民が健康保険に未加入だったため、大きな進歩だったといえるでしょう。

加入対象は、公務員、雇用主、企業等の従業員とその扶養家族です。
全民健康保険制度に加入していれば、病院に行った時、自己負担20%で診療を受けることができます。
なお、この精度は外国人(駐在員)も加入できるため、台湾進出の際に加入するのがオススメです。

保険料の負担割合

企業等の従業員の場合、以下の割合で分担します。
企業等:個人:政府=6:3:1

また、雇用主や個人事業主の場合は、100%自己負担となります。
企業等:個人:政府=0:10:0

駐在員の扶養家族の扱い

先程、駐在員も加入できると説明しましたが、扶養家族の扱いは異なります。
外国人国籍で、現地拠点の役員や中座員の扶養家族の場合、従業員居留証を取得後6カ月経過しなければ全民健康保険に加入することができないので注意してください。

2世代補充件子保険制度

全民健康保険制度を補充する形で、2世代補充件子保険制度(2代健保)という制度があります(2013年1月施行)。
これは上記の全民健康保険制度の財政悪化を改善することが目的ですが、保険料を低く抑えるために、実際の給与よりも低い月額標準報酬で保険料の算定を行うような企業や個人から保険料を徴収するためとも言われています。

具体的には、

(1) 月給の4か月分を超える、保険加入事業者(即ち使用者)から支給されるボーナス・賞与などの奨励金
(2) 保険加入事業者(勤務先会社)以外から得たその他の賃金収入(即ち兼職・副職の収入)
(3) 業務執行による収入
(4) 株式配当による収入
(5) 利息所得
(6) 不動産賃貸からの収入

以上の収入に対して、2%の健康保険料を納付します。
台湾に行って個人の大家さんから不動産を借りる場合には、2%の保険料が家賃に含まれているかどうかは確認しましょう。

労工保険制度(労働保険)

日本における労働保険に該当し、加入対象は、企業等の従業員です。
主に「労工保険」と「就業保険」の2つから構成されています。
また、職業災害(労災保険)、失業(失業保険)、出産育児(育児休業保険)等の要素も含まれます。

原則、従業員5人以上の事業所は、満15歳以上60歳以下の従業員の加入は義務となっています(外国人従業員を含む)。
従業員5人未満の事務所の場合は加入は任意ですが、労工保険のうち「就業保険」の部分に関しては強制加入となっています。
そのため、台湾進出をした日系法人は従業員数に関係なく一括加入しているケースが多くなっています。
なお、日本と同様に、雇用主(取締役等の役員)は加入することができません。

労工保険料の負担割合と加入時期

保険料の負担割合は以下のようになります。
企業等:個人:政府=7:2:1

加入時期は以下になります。
・台湾人従業員:就業日即日
・外国籍(日本人駐在員など):居留証取得後に即日加入

企業退職年金制度

日本における厚生年金保険に該当し、加入対象は、台湾籍従業員と台湾人が配偶者の外国人になります。
月額給与額の最低6%を労工保険局(日本でいえば厚生労働省)が管理する各個人の専用口座に積み立てを行います。日本と同様に、従業員の転職時にも当該口座は継続します。
なお、日本と名称が同じですが、国民年金保険という、日本の国民年金に該当する制度もあります。
なお、全民健康保険制度・労工保険制度と異なり、外国人(駐在員)は加入できません(台湾人の配偶者を除く)

保険料の負担割合

保険料は企業等の負担となります。
企業等:個人:政府=10:0:0

以上が台湾における社会保険制度の解説となります。
台湾進出に際して、駐在員が台湾で暮らし働くためには最低限の生活の保障を得ることが重要です。
また、台湾現地の従業員たちの社会保険制度についても理解しておく必要があります。
台湾従業員との雇用契約書の内容や、法人としての社会保険手続きなど、専門家の力も借りつつ、しっかりと対処していきましょう。
なお、台湾は社会保険料が変わる頻度が多いので、常に最新の情報を確認しておきましょう。