通関とは法令で定める手続きを行って輸出、輸入、搬送することを言います。
一連の手続きの中で申請した書類の審査、貨物の検査、輸送手段の確認、関税の徴収、輸出入承認などが行われます。
通関は手続きなどが複雑なため、専門家に丸投げしてしまうケースがどの国でも見られます。
確かに内容が難しく煩雑なため、専門家に依頼する事で効率化を得られますが、台湾進出するうえで関税・通関に関して知識などが全く無い状態は好ましくありません。
有事の際に慌てることがないように、台湾の関税・通関に関して概略的な部分は抑えておきましょう。
こちらの記事では台湾の関税・通関に関してまとめましたので、ぜひご参考にしてください。
台湾の関税・通関を学ぶ前に 〜先ず輸入検閲・検査手続が必要〜
台湾の関税・通関について学ぶ前に、まずは輸入検閲や検査手続きについて抑えておきましょう。
台湾に商品を輸入する場合、生きている動物及び人間の口に入れる食品については、検閲と衛生検査を受けることが必須となります。
人体に与える影響や、病原体の侵入を防ぐといった目的で、貿易の際には輸入検閲と検査がつきものです。
さて、衛生検査は、書類検査と現物検査がありますが、現物検査は無作為抽出で行われたもののみに実施されます。
過去の実績では、輸入申請件数の5%前後が現物検査を受け、残りの95%は書類検査のみで通過しています。
書類検査に必要なデータや検査結果は事前に特定の専門機関にて、検査・分析を行っておく事が基本です。
輸入成分可否検査、成分分析検査等を受け、証明できるデータを添えて提出することがスムーズな手続き進行には必須となります。
公的機関の検査だけですと時間が長くなってしまいますので、ある程度のコストをかけて民間の検査機関に検査してもらい、その結果を提出するのが通例です。
輸出物の成分検査についてまとめましたので、ぜひご参考にしてください。
台湾の通関に関して
台湾の通関を大別すると「一般通関」と「特別通関」に分けることができます。
一般通関はその名の通り、台湾の一般的な輸出入に関する通関となります。
特別通関には「郵便物通関」「旅行者通関」「宅配物通関」などに分けることができます。
それぞれの通関について、下記で説明します。
一般通関について
台湾では、輸入業者は専門通関業者または物流業者の代理通関を取るのが一般的になっています。
税関検査は食品衛生関係や動植物検疫のチェックが済んだ後、書類審査が通り関税等を納付することで取引が可能になります。
また、引き取り時には書類と貨物の照合する貨物検査が行われます。
通関期間は通常1日程度で完了しますが、品目によっては一週間程度時間を要するケースもあります。
台湾の特別通関(郵便物通関・旅行者通関・宅配物通関)に関して
台湾の特別通関に関して、下記に「郵便物通関」「旅行者通関」「宅配物通関」の三種類があります。
いずれも一般通関より小口であることが多いため、小口通関ともいいます。
三種類ありますが、郵便物通関と宅配物通関は似た制度になっています。
旅行者通関制度は出入国時で異なるので、「郵便物通関・宅配物通関」と「旅行者通関」で分けて説明します。
郵便物通関・宅配物通関
EMSや国際eパケットなどの国際郵便では個人利用が多いことから、一般の貨物と違って荷物について税関に申告する必要がありません。
また、2,000台湾ドル以下の少額輸入貨物については関税が免除となります。
ただし、アルコール、タバコ、関税割り当ての農作物は除きます。
国際郵便交換局到着後、その内の税関の出張所で税関職員による検査が行われます。
なお、郵便物通関に関しては、台湾において税関告知書とインボイスが必要になります。
旅行者通関
出入国時によって、精度が異なっています。
台湾入国時の際には「レッドライン通関」と「グリーンライン通関」の2種類があります。
持ち込みが制限されている携帯品(アルコール・タバコや現金、農産物・水産物など)を持参している人はレッドライン通関で、
それ以外の人はグリーンライン通関でそれぞれ通関作業を受けることになります。
出国時(輸出時)も税関へ届け出が必要な事項や通関などの持ち出し限度額(現金)、輸出限度額、輸出禁制品などがそれぞれ定められています。
【通貨などの持ち出し限度額】 |
台湾ドル:10万台湾ドル以下。これを超える場合は、事前に中央銀行の許可申請が必要。 外国通貨:1万米ドルに相当する金額以下。これを超える場合は、税関への申告が必要。 中国通貨:2万人民元以下。 有価証券:額面1万米ドル以下。これを超える場合は、税関への申告が必要。 |
なお、有価証券にはトラベラーズチェック、その他小切手、為替手形、あるいは保有者が台湾またはその他の国で権利を行使できるその他有価証券を含みます。
【輸出限度額】
出国する旅行客および乗り継ぎで入国する旅行客が、自己用の荷物以外の物品で、経済部国際貿易局公告の輸出制限貨物品目表「限制輸出貨品表」に記載されていない物品を持ち出す場合、限度価額は2万米ドル相当です。
【輸出禁制品】 |
1.著作権等に抵触するコピー書籍、カセットテープ、ビデオテープ、DVDおよびコンピュータソフトウェア (ワシントン条約CITES許可証を添付の上税関検査を行い、輸出申告を行う必要がある) |
それぞれ確認しておきましょう。
関税について
台湾に限らず、関税の話はどの国の制度も難しく、複雑です。
例えば、同じ機械であってもそれを「PCパーツ」とみなすか、もしくは「鉄で出来た部品」と分類するかで大きく定義が変わってきます。
実際には専門家にほとんどの実務をお願いすることになるかもしれませんが、概要だけでも理解しているだけで台湾進出に対する造詣が深まりますので、
「課税価格」「関税率」「小口貨物の免税」に関する概要は確認しておきましょう。
課税価格
商品を輸入する際には関税が課されます。
課税価格に関しては、下記の計算式となります。
・課税対象価格=CIF(Construction Industry Federation)価格=(商品価格+運 賃+保険料)
・関税=CIF×関税率
関税率
台湾の関税率は概ね7.5%~35%の範囲内となっているが、マンゴー・かき・なし・パイナップル・ぶんたん・バナナ・ココヤシなど9項目については、国内産業保護を目的とした関税割当になっている。
割当外の場合は60%~184%程の高税率が適用されます。
関税率の分類については、世界的に共通なHS分類(Harmonized System)に基づいて税関コードを分類しています。
小口貨物の免税について
2018年1月1日よりそれまで3000元以内だった免税範囲が2000元以内に引き下がりました。郵便通関でも対象となるため、注意が必要です。
近年、台湾で越境ECが盛んになっており、台湾国内の小売業競争力を公平なものにするため改正が行われました。
また、半年度で6回を超えて同一の輸入者が免税範囲内の貨物を輸入する場合も課税対象となります。
対象の半年度とは、毎年1月から6月まで及び7月から12月までとなります。
以上が台湾における関税の概要です。簡単に確認する程度でも構わないので、ご確認ください。
まとめ 〜台湾の関税・通関について〜
本記事では台湾の関税・通関に関する情報をまとめました。
関税・通関に関する知識ははっきりいって難解ですし、複雑です。
また、輸入取引には乙仲やフォワーダーなど通関対応可能な専門家がいるため、ほとんどのケースではそうした業者に依頼することになります。
実際、実務などを行う上で専門家の力が無いと台湾進出にはとても辿り着けないといえます。
とはいえ、専門家も「台湾進出を行うのはあくまでもクライアントの意思によるもの」という前提で業務を行います。
そして、実際に意思決定などを行っていくのは皆さんになるため、専門家に丸投げをするわけにもいきません。
専門家の力を借りることは必要ですが、台湾進出を行ううえで「関税・通関」に関する概要を知っておくことは必要になりますので、ぜひ上記をご参考にしてください。