会計と税務

台湾の源泉徴収:給与支払い、配当金、租税協定など

台湾でも日本と同様に、台湾においても源泉徴収が行われています。 源泉徴収とは、給与等の支払者(会社など)が、それを支払う際に税金を差し引いて、納税者(社員など)に代わって税金を国や自治体に納める制度のことです。 特に、台 […]

会計と税務

台湾でも日本と同様に、台湾においても源泉徴収が行われています。
源泉徴収とは、給与等の支払者(会社など)が、それを支払う際に税金を差し引いて、納税者(社員など)に代わって税金を国や自治体に納める制度のことです。
特に、台湾人の従業員に対する給与支払いなどに密接にかかわってきますので、源泉徴収の概要は把握しておきましょう。
こちらでは台湾の源泉徴収に関する情報をまとめましたので、ぜひご参照ください。

台湾における源泉徴収と免除

源泉徴収というと真っ先に思いつくのは給与からの源泉徴収ではないでしょうか。
日本と同じく、台湾も給与支払い時に源泉徴収は関わってきますが、給与支払い以外のタイミングでも源泉徴収が関わってくることがあります。
以下のような所得項目に対しては源泉徴収を行う必要があります。
それぞれの源泉徴収の項目などを下記にまとめました。

  居住者あるいは台湾企業(支店含む)に支払う場合 非居住者あるいは外国法人に支払う場合
(1)配当 20%(10%)
(2)コミッション 10% 20%
(3)利息 10%  20%(10%)
(4)賃貸料 10%  20%
(5)給料 給与所得源泉徴収票の規定又は支払い総額の5% 18%
(6)業務執行報酬 10% 20%
(7)ロイヤリティー 15% 20%(10%)
(8)財産取引所得 申告納税 2%の申告納税
(9)その他の所得 申告納税 20%

なお、税額が2000元以下の場合は、少額のため源泉徴収は免除されます。

特に台湾進出の際に抑えておいたほうがいい「配当金」「給与所得」「日台租税協定」については下記に詳細をまとめましたので、こちらもご参照ください。

台湾の配当金における源泉徴収

台湾の現地法人から親会社等の非居住者である外国人株主や外国法人(以下、非居住者等)に配当を行う場合、源泉徴収を行う必要があります。
原則として、20%の源泉徴収が必要です。
法人内の利益留保による税費負担回避をできないようにするために、未配当利益に対しては10%の営利事業所得税が課税されます。(営利事業所得税のページ参照)
ただし、株主が外国法人等である場合、配当の支払い時に源泉徴収納税額から、上記の未配当利益10%追加課税分の半分を控除することができます。
台湾で稼ぎ出した利益をどのような扱いにしていくのか、というスキーム設計は非常に重要なので、台湾進出時に慎重に考慮する必要があります。

台湾の給与所得に対する源泉徴収

台湾人従業員や外国人の居住者等に対しては、5%の税率または給与所得源泉徴収表に基づいた源泉徴収が必要です。
給与所得源泉徴収表では、1か月の所得が73000元以下の場合は源泉徴収額はゼロになります。
非居住者等に対しては18%の源泉徴収率が適用されます。

日台租税協定(2017年1月)について

日本と台湾においては、2007年1月1日から租税協定が適用されました。
名称は「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会の間の取決め」となっており、正式には国と国との協定とはなっていません。
この協定発効により、配当金、利息、ロイヤリティを台湾の会社から日本へ送金する場合の源泉税率が、従来の20%から10%へと変更になりました。
注意しなければいけないポイントとしては、この租税協定を適用するためには、日本が他国と締結している租税条約と同様に、国税局への届け出資料を準備する必要がある点です。
例えば、日本への配当金を送金する際に10%の源泉税率を適用したい場合には、事前に日本で資料を準備し、さらに台湾の税務署に届け出を行う必要があります。
租税協定が発効したからと言って、自動的に税率が低減されるわけではないため注意してください。

台湾の源泉徴収のまとめ

以上が台湾の源泉徴収の解説となります。
特に台湾進出とかかわりが深いのが「給与所得」「配当金」「日台租税協定」です。
源泉徴収や給与計算の際には税理士や会計士など専門家の力も借りることになりますが、経営を担う皆さんも概要だけは抑えておきましょう。
特に台湾人スタッフの給与に関わることなので、当ページで解説した基本的な概要だけは抑えておきましょう。

参考記事
台湾の法人税(営利事業所得税)