会計と税務

台湾で所得税を二重課税されないための基礎知識

日本の税法上の居住者と非居住者の区分、それによって課税するか否かが変わってくることは「台湾の駐在員の所得税や税金」(内部リンク)で書いた通りですが、 台湾に赴任者が実際に日本の非居住者に該当するかどうかは、赴任者の所得税 […]

会計と税務

日本の税法上の居住者と非居住者の区分、それによって課税するか否かが変わってくることは「台湾の駐在員の所得税や税金」(内部リンク)で書いた通りですが、
台湾に赴任者が実際に日本の非居住者に該当するかどうかは、赴任者の所得税を考えるうえでは非常に大事なポイントになります。
居住者か非居住者かによって、報酬の受け取り方などを工夫しないと「二重課税」になってしまいかねないからです。
台湾の駐在員は現地での業務や現地での生活に順応するために大きなエネルギーを使うため、税金周りの話まで気が回らないことも多いです。
駐在員本人には業務に集中してもらうためにも、会社側で二重課税がされないような環境づくりをしてあげましょう。

日本と台湾で所得税の二重課税をされる可能性がある

台湾赴任が決定したものの、日本の非居住者に該当せずに居住者と判定されてしまった場合には、居住者として日本で所得税を課されます。
この時、台湾国内の税法上も居住者と判定されてしまった場合は、台湾においても所得税を課されることになり、結果的に所得税を二重課税されることになってしまうのです。
下記で説明しますが、2017年から適用された「日台租税協定」によって、二重課税日本と台湾間で二重課税が起きることはほぼ無くなりました。
そんな中、二重課税してしまった場合でも還付されないわけではないのですが、手続きが非常に面倒になるため、二重課税されることのない環境を整えましょう。

日本での判定:居住者か、非居住者か

日本における非居住者の定義は「国内に住所を所有せず、又は現在まで引き続いて1年未満しか居所を有していない」というものです。
居住者・非居住者判定の推定規定によれば、会社から1年間以上の予定で台湾赴任を命じられた場合、台湾で1年以上居所を有する=日本で1年以上居所を有しないということになるため、
日本の非居住者となる要件を満たすことができると考えられます。
ですが、逆に言えば、台湾赴任の予定が1年未満の場合には、日本の非居住者となることができません。
日本の非居住者になれない=日本の居住者になりつつ、台湾で課税対象となると、日本と台湾において二重課税になる恐れがあります。

台湾での判定と183日ルール

以前は二重課税になってしまうケースが多く、中々日本人が台湾進出出来ないというケースがみられました。
そこで台湾と日本は2015年に「日台租税協定」を結び、二重課税の防止など円滑な租税実務を遂行するための取り決めを定めました。
2017年1月から日台租税協定が施工され、いわゆる「短期滞在者免税」が適用することになりました。

半年以下の短期滞在者は台湾において居住者とならず、所得税が課税されないという内容が「短期滞在者免税」です。
台湾での居住者か非居住者かの判定は、滞在日数により判定されます。
暦年で累計183日以上(台湾入国日の次の日から出国日までを年間で累計)滞在すると、台湾の税法の計算上、居住者とみなされて所得税を課されることになります。
逆に183日を超えなければ、日本でもらった給与に対して台湾で所得税が課税されることはありません。
余談ですが、台湾での居留証を取得していたとしても182日以下の滞在であれば、台湾の税法上は非居住者となり、所得税を課税されることが無くなったのです。

<表>

所得税の二重課税を避けるために

上記を加味して、日本と台湾の所得税二重課税を避けるためには一般的に以下のような方法がとられています。

・短期滞在の場合には、台湾赴任の期間を、短期滞在者免税の範囲内(183日)に抑える
もしくは、
・長期滞在を想定する場合には、台湾に赴任する人が日本の非居住者となるために、一年間は日本において住所も居所も有さないようにする

つまり、台湾滞在を183日未満にするか、日本から離れて台湾に滞在するのを1年以上にするかという2点を守れば、二重課税を回避できるのです。
特に、183日以上~1年未満の滞在の場合には、日本と台湾の両国で居住者として所得税が課税される恐れがあるので注意が必要です。

台湾に駐在員を赴任させるということでしたら「台湾滞在を183日未満」にするか「日本から離れて台湾に滞在する期間を1年以上にする」
以上の2点を守ったうえで、駐在員の滞在スケジュールを定めましょう。
そうすることで二重課税は回避できますので、安心して業務にあたれます。
半年以下の短期滞在にするか、1年以上の長期滞在にするか、台湾で行う業務の内容と以上の解説を踏まえて、駐在員の滞在スケジュールをあらかじめ決めておくことをオススメします。

<表>

参考記事
台湾の駐在員の所得税や税金
居住者、非居住者の判定について